トップメッセージ

ダイバーシティ&インクルージョン実現に向けたトップメッセージ


「地球を笑顔にする。」ために、
社会から必要とされる企業であり続けるために、
2030年のありたい姿を実現するための
新たな中期経営計画をスタートいたしました。

これまで以上に、
事業それぞれの打ち手と
世の中の持続可能性を高める取組みとの
連動を目指します。

 

私が社長に就いて、策定、実行いたしました最初の中期経営計画 「22中計」 が終わりました。

初年度、2年度と当初計画に対して未達でありましたが、最終年度である2024年度は、売上こそ僅かに届かなかったものの、その他の財務目標については全て、策定当初の原計画を上回ることができました。

とくに金属事業において、為替や地金価格が想定を上回って推移しましたこと、それらに伴ないます在庫要因の好転が大きく効いていますが、電解銅箔や機能粉など機能材料事業の主力製品の増販も貢献し、当社三井金属としては、売上、利益の面とも過去最高を記録いたしました。創業150周年という大きな節目の事業年度に、こうした結果を出すことができ、深い感謝の気持ちとともに一先ずの安堵を覚えます。しかし、そのような安寧のときは束の間、既に過去のことです。次の新たな中期経営計画 「25中計」 を始動させています。これまでにこの誌面でお伝えしておりますとおり、社長としての私のミッション、コミットメントは、この三井金属を50年先にも、100年先にも、世の中に貢献し続け、世の中から必要とされ続ける企業グループたるべく、その揺るぎない基盤を築き確かなものとすることです。

この2025年度は、米国トランプ政権による高関税政策が世界経済の先行きを不透明にし、金利や為替の変動にこれまで以上に注意を払わなければならない状態が高まっています。グローバルに広がる当社事業のサプライチェーン、それぞれについてもやはり、これまで以上にきめ細やかな管理をしていかねばならないと感じています。為替は円高へ、地金価格は下降へとの前提の下、堅調に推移しました前期に比して、当年度は減収減益を現時点で見込んでいます。

国内においては、原材料やエネルギー価格の引き続いての上昇とインフレの進行、それに伴う消費の二極化、さらに進む人材不足について対処すべき課題として認識しています。

もちろん、不透明かつ極めて厳しい現下の経営環境を言い訳とするつもりはありません。期初の見込みよりも、売上、利益とも少しでも上積みすべく、それぞれの事業で打つべき手、打てる手は尽くしてまいります。描いている当社グループの 「2030年のありたい姿」 を実現、達成するためには、この 「25中計」 は必ず成し遂げなければならないステップです。

 

経済的価値と社会的価値を
持続的に創造し続けるための、
その礎をさらに固める3か年度。

22中計期間には、有利子負債をこれまでにないスピードで、26.2%の削減が図れました。これによって、 22中計で改善を図るべき主要財務指標として掲げました自己資本比率、一方にありますROEとも、原計画を上回る結果となりました。

当年度からの25中計においても、営業キャッシュフロー増を図り、22中計に対し約2.5倍のさらなる成長投資、株主皆様への還元へと充てていきます。今後は、「累進配当方針」 を採用し、従前の2.5%から3.0%へと高めることができましたDOE(株主資本配当率)は、さらに3.5%を目途に引き上げていく計画です。また、還元方策のひとつとして、自社株買いも選択肢として有しています。

22中計においては、ポートフォリオマネジメント、事業ポートフォリオの動的管理に本格的に着手し、 ROICによる事業評価も採り入れました。

25中計では、キャシュフロー経営を徹底するとともに、さらに 「資本コスト・株価を意識した経営」 の深化を図ります。

経営資源の効果的な配分、資本効率の追求という点では、株主、投資家の皆様には当社の進展は遅々と映っているかも知れません。

昨年度、監査等委員会設置会社へ移行しましたことにより、その狙いとおりに意思決定の迅速化、取締役会における経営戦略、経営方針を中心とした議論、審議の充実を図ることができたと感じております。昨2024年度も、当社の取締役会において、経営戦略に関する議論、事業ポートフォリオの見直し、 M&Aや組織改編に関する案件の議論に多くの時間を割くことができました。一昨年度、取締役の報酬のうち、株式報酬についてESG指標の達成状況を要件として織り込みましたのに続き、今年度からは業績報酬の部分にROICを指標として加えています。また、ポートフォリオマネジメントの強化を目指し、事業評価の指標として、事業別WACC(加重平均資本コスト) および 事業別ROIC目標 (ROIC Spread *1) も加え改めています。

ROICを尺度とした客観的な事業評価を踏まえ、この25中計では抜本的なキャッシュの創出へ向け、いくつかの事業で 「大胆施策」 を打つことを検討しています。「大胆施策」 とは、漸次的ではなく非線形な成長への変化を実現する施策を指します。これによって、非線形すなわち、これまでにない加速的な成長を叶えたいと考えています。

22中計期間には、事業ポートフォリオの見直しを継続して重ねた結果、続けていくつかの事業の売却を決定、実行してまいりました。一部の投資家の方からは、「バイサイド、買う側になる案件はないのか」 とのお尋ねも頂戴しています。所謂 「バイサイドM&A」も、この 「大胆施策」 のひとつとして検討いたしております。たしかな事業評価を経て、投資判断基準をしっかりと満たすものがあれば、速やかに大胆に推し進めたいと思います。

昨年度は、当社グループが重点的に取り組むべき「マテリアリティ」 の見直しも図りました。25中計の戦略に合わせ、事業部門それぞれの取組みと、CSR・ESG・サステナビリティの取組みをさらに連動させることを意図したものです。事業を通じた環境・社会課題解決への貢献を目指す3項目、社会への提供価値を高める4項目、これまでの12項目から計7項目に絞り、この2025年度からの新たなマテリアリティとして掲げています。

いま現在の世の中のさまざまな課題を洗い出し、それら課題が当社グループにどのようなリスクと機会をもたらすのか、また、当社グループの事業活動がそれらに正負両面でどのような影響を及ぼし得るのか、あらためての現状認識を丹念に行ないました。もちろん、当社グループの経営理念、パーパス、全社ビジョンに則するものでもあります。

経済的価値の向上を目指し財務指標を掲げるとともに、これらのマテリアリティは社会的価値の向上へつながる非財務の指標でもあり、これまで以上に、取組みそれぞれの具体的なKPIも設定しています。

*1ROIC(投下資本利益率)からWACC(加重平均資本コスト)を差し引いた値。

統合思考経営を
人的側面から推し進める
新たな指針。

また、時を同じくして、行動規範を改定し、新たに「バリュー(行動指針)」 を作りました。

前者は、ステークホルダーから信頼される存在であるために、組織・個人として外してはならない規範を示すものであり、世の中のニーズの変化に合わせて9年ぶりに改定を図りました。後者は、パーパスを基軸として全社ビジョンを実現するために、一人ひとりがいきいきと働くことができ、新たな価値を創出できる環境作り、そのインフラとしての組織風土や文化を言語化し、強化すべき行動や価値観を5つの言葉で示しました。

このバリューについては、着実に定着が進んでいます実力主義の人事制度の中でも、個々人の目標や人事評価の基準にバリューを組み入れました。また、新たに特定しましたマテリアリティのひとつとして、「私たちのバリューを実践する人材」 と掲げましたのも、誰もがいきいきと働ける、挑戦することができる風土の醸成によって、安心・安全な職場作り、働きがい改革の促進、人材の多様化など、人的資本の価値最大化に多面的に、相乗的に寄与できるものであるとの大きな期待からです。

知的資本、すわなち知的財産も重要な経営資源であるとの認識から、その取組みが弛むことはありません。私たちがこれまで培ってきました知恵をしっかりと権利化し、その保護を図るものであり、両利きの経営における知の探索にも深化にも役立つものとして、知的財産マネジメントも引続き積極的に推し進めています。これまで見えにくかったその価値を、「特許総資産価値」 という数値で指標管理し、堅実に高めることができています。

企業価値の向上、統合思考経営を支える仕組みのひとつとして、22中計においてDXの取組みも強化を図ってまいりましたが、情報セキュリティへの対応をはじめとするデジタル基盤の構築は計画とおりに整えられました。この25中計はデジタル普及期と定め、デジタル活用モデルの全社展開、生成AIなどの新規共通ツールの普及、DX人材の育成に注力していきます。

カーボンニュートラルへ向けたロードマップは既にお示ししていますとおりですが、このDXの普及が着実に進められれば、各製造工程における操業安定化、生産効率の向上、省エネルギーへとつなげられます。また、DXの推進によって研究開発の競争力を高める事業創造本部において、新規事業化を進めています低炭素、脱炭素に貢献する技術、製品とも相まったシナジー効果によって、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できるはずとの自信を深めています。

極めて強い反省と後悔の念。

昨年度の振返りとして、やはり触れておかねばならないことがひとつあります。

昨年10月の内部通報によって判明し、去る4月に特別調査委員会の調査結果とともに発表いたしました、当社子会社である三井金属パーライト株式会社での検査測定値の改ざんや捏造という不適切な行為、事案を発生させてしまったことです。

22中計の中でも、リスク管理、コンプライアンス徹底を掲げていながら、三井金属の社長とし当社グループ全体に対して責任を負う立場として、慚愧に堪えません。建材用、緑化用などパーライト製品を長きにわたりご使用いただいているお客様にはもちろんのこと、当社ステークホルダーの皆様からの信頼を失う不適切行為を起こしてしまいましたことを、あらためて深くお詫び申し上げます。

当社および三井金属パーライト社において、本件行為の発覚以降、その原因を分析し、コンプライアンス意識の強化、検査データの信頼性確保・システム改善など再発防止に向けた取組みを急ぎ進めておりますが、社長として私自身も、品質の重要性を改めて強く意識し、目先の納期や利益よりも 「品質最優先」であることの教化を目的に、各製造拠点への巡回を継続しています。このようなコンプライアンスに反する行為、皆様からの信頼を失うような不祥事は二度と起こしませんことを、堅くお約束申し上げます。

私たちのパーパスを軸として、両利きの経営をバランスよく進め、経済的価値と社会的価値の両軸の経営戦略を実行し、財務と非財務の両面から持続可能な企業となるべく、統合思考経営への変革を遂げていきます。「地球を笑顔にする。」 ために、揺れ動くことなく、これらを確実に進めていきます。

そして、2030年のありたい姿の実現へ、経営トップとして、これまで以上に情報を積極的に発信し、社内外のステークホルダー皆様とのコミュニケーションも進めていきます。今後とも、より一層のご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

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