トップメッセージ

ダイバーシティ&インクルージョン実現に向けたトップメッセージ


私たちの 「パーパス」 を、定めました。

将来の予測が一層難しくなる中、
常に変化に対して柔軟に速やかに対応できるよう、
この三井金属グループで働く一人ひとりが
共感、共有できる価値を示すために、
私たちの存在意義を明確にいたしました。
そして私自身が、三井金属グループは何ができるのか、
どんな価値を世の中に提供できるのか、
そのことをステークホルダーの皆様へ
しっかりとお示ししたい、と強く願ったものです。

 

先が見えない時代にどう臨むのか、どう舵をとるのか。

収束の気配も見られず、新型コロナウイルスが世界各国で依然として感染者数の増減を繰り返しています。ワクチンの接種が多くの国でさらに進み、治療薬の開発とその普及もやがて始まると期待されますが、感染力が高い新たな変異株も次々と発生しており、まだまだ予断を許さない状況にあります。

この2021年度は当社グループにおいても、基本的な感染予防対策は引続き徹底するとともに、一部の行動制限を緩和するなど、「withコロナ」へ向けて手探りの状態が余儀なくされました。

そして、2022年2月に起こり、まったく先が見通せないロシア軍によるウクライナ侵攻は、ロシアに対する各国制裁とそれへの報復措置によって、エネルギー価格の高騰や食料の供給不足という大きな負の影響を世界にもたらしています。深く憂慮されるこの事態が一日も早く終わることを願うとともに、当社グループの事業それぞれにおけるサプライチェーンでの影響を引続き注視し、必要に応じて速やかに対策を講じていきます。

いま現在の世界の状況は、まさに「VUCAの時代」、その言葉とおりであることを痛感させられます。先行きが見通せない、将来の予測が非常に困難な状況です。このような環境、このような時代だからこそ、自分たちの存在意義をあらためて明確にし、私たちが社会に提供できる価値を確かめることが必要となりました。企業としての「価値観」、そして、一人ひとりの価値観とが結び付く、三井金属グループで働く皆が共有できる「軸」が必要であると判断いたしました。

2021年度、私たち三井金属グループの「パーパス」は何か、を自らに問い、そしてそれを定めました。

何が求められているのか、何ができるのか。それを問い続け、わかったこと、確信できたこと。

この先の5年、10年の間に、さらにその先にも起きる変化は、これまで私たちが経験したことのある変化よりもはるかに大きいものになるでしょう。

そうした激しい変化の時代へと入り、私たち三井金属グループが、お客様に認められ、社会に役立つ価値をこれからも創造し続けていくために、都度自分たちの原点に立ち返ることができるよう、共有できる価値観を言語化しましたものが私たちの「パーパス」です。

― 探索精神と多様な技術の融合で、 地球を笑顔にする。

独り善がりではないか、ステークホルダーの皆様にも共感いただけるか。定めるにあたり、社内で多くの議論を重ねました。いろいろな観点から、自分たちの存在意義を考え続けました。その目線を置きましたのが、2050年の世界はどうなっているか、ということです。

2年後には創業から150年という節目を迎えるに至る歴史があります。その長い歴史において、非鉄金属製錬を中心とした事業を営み続ける中で培ってきました多くのテクノロジーを私たちは有しています。

新しいマテリアル、新たな製品を開発し、創り続けてきました源である、熱意、想い。脈々と受け継がれてきたDNAを、「探索精神」という言葉で表しました。

持続可能な社会の実現に貢献すること、次の世代、そしてその次の世代の“未来”へも貢献すること、私たちの「パーパス」はそのステートメントでもあります。

もちろん、言葉にできたから終わり、ではありません。パーパスを通じたあるべき姿を実現していかなければなりません。そして、これからも変わり続ける世の中のニーズに対して、常に存在意義を確かめ続け、実行する必要がある、と理解しています。

先が見通せないからこそ、これまでにない視点での新たな道筋のつけ方。

2022年度を初年度とする、新たな3か年度の経営計画「22中計」を策定いたしました。

見据えました2050年の世界をもとにした「パーパス」、そしてそれを起点としてバックキャストしました“2030年のありたい姿”として「全社ビジョン」も合わせて今回定めています。全世界共通の目標であるSDGsの時間軸と揃うものです。

「新たな成長ステージに向けた経営基盤の強化」を目指しました2016年度からの「16中計」、「2024年のありたい姿を実現する成長基盤の変革」を掲げました2019年度からの「19中計」、この6年間の結果において省みるべきものを省み、獲られたものを確かめる、という過去を踏まえたフォアキャストと、パーパス、さらに全社ビジョンからのバックキャストを組み合わせ策定いたしましたのが「22中計」です。

激しく環境が変わっていく中で、私たち自身もダイナミックな変化、エポックメイクな成果を生むために、これまでに採ったことのない策定手法です。その実行へは、経営のインフラもドラスティックに整え直す必要があります。

したたかに、しなやかに二兎を追うことでたしかな価値を生み続ける。

両利きの経営と呼ばれる経営理論があります、既存の事業の深掘りとともに、新たな事業機会の発掘、その双方をバランスよく行なうマネジメントです。1990年代を過ぎて、日本企業がグローバルな競争に苦戦したのは、優位な技術力がありながらこのバランスがとれなかったためと云われています。

前者は「知の深化」と呼ばれる取組み、これまでにある製品や事業を深掘りし、改善していくことです。

後者は「知の探索」、これまで自らがもつ既存知の範囲を拡げる取組みです。これまでに参入したことのない事業領域、異業種との協働などによって、別にあった既存知を得て、既存知と既存知の組み合わせからイノベーションを起こしていきます。

いまある事業を改善しつつ、新規事業を立ち上げる、事業のポートフォリオとしてはとてもシンプルに思えますが、性能向上や効率化を目指す深化と、新しいアイデアを生み出すことが求められる探索とでは、それぞれに必要な能力が異なります。

その2つの全く異なる能力を、企業としてコントロールできる経営者のマネジメント能力が両利きの経営には求められます。




 

この「知の深化」のために、既存の事業ラインを3つの事業本部に組み直しました。それぞれの事業がこれまで以上に“市場”を基軸に相互の連携を図り、個々の総和では得られない新たな価値を創り出し、描いたありたい姿へ向かうための打ち手です。

そして一方の「知の探索」の強化のために、先行して2020年に本社部門として事業創造本部を設立していますが、研究開発と市場共創を担うこの部門へのこれまでにない規模での経営資源の投入を22中計では織り込みました。研究開発人員を現在の1.5倍へと増員し、研究開発費も前の中計の倍以上の規模で戦略的に投じていきます。

また、深化と探索、その両方の観点から、M&Aも積極的に活用していきます。

 

社会的価値向上のための、「機会」と「リスク」のたしかな掌握、そしてそれぞれへの打ち手。

安全第一、この言葉が揺らぐことはありません。経営におけるいろいろな課題、取組みがある中でも、職場における災害撲滅が最優先であることは変わりありません。安全で衛生的、健康的な職場環境を整え、健康経営を実践していきます。

気候変動への対応では、2050年のカーボンニュートラル実現へ向け、グループ全体で2030年にはCO2排出量を2013年度比で38%削減することを新たな目標として設定いたしました。その削減へ寄与させるべく、また、世の中の環境課題、社会課題の解決に貢献する製品を創出するための検証手法として、LCA、ライフサイクルアセスメントの全社導入も進めています。TCFDのシナリオ分析も各事業に順次展開しており、その開示情報の充実も図っていきます。

もちろん、水の管理、環境負荷物質の削減と管理も引き続き強化してまいります。

これらは、当社グループが有する知恵と技術で循環型社会の構築に貢献できる、攻めの取組みでもあります。人権の取組みでは、デュー・ディリジェンスの実施を継続し、特定されたリスクに対しては速やかに是正措置を講じていきます。サプライチェーンの取組みについては、すでに実行のサイクルは確立されていますが、引き続き、環境、社会、そしてガバナンスの点で、私たちのサプライチェーンの中にリスクが潜んでいないか、その精査と是正を重ねていきます。

私たちグループの企業価値向上の推進力の源泉である非財務資本の充実、強化にも注力していきます。

中でも最も重要な資本は“人”です。人的資本の強化には、今も、将来も、多様な人材がより活躍できることが重要です。この環境を整えるために、ダイバーシティ推進室を新たに設けました。

2022年度から導入した人事制度では、年次年功を排し、仕事の役割を明確にすることで、実力主義を徹底していきます。また、人生100年時代を見据えつつ、働く一人ひとりが自らのキャリアを自律的に考えることを促すとともに、その実現と成長を支援するため、教育体系をはじめとした体制も整えています。 

研究開発のスピードアップ、スマートファクトリー実現、業務の徹底的な効率化のために、DX、デジタルトランスフォーメーションも推し進めています。システムの安全性を高めるとともに、各指標の管理、意思決定のスピードと情報の流れを加速させることに寄与するものです。

社会的価値、その意味するところは、社会の公器としての企業のありかたを考え、社会からあずかった人をはじめとする資本を、より付加価値のあるものにかえて社会に還元していくこと。施策のベースには、その理解があります。

実行、実践することこそが、全て。

その実行を支える仕組みも整えながら新たに策定しました中期経営計画、ここから3か年度の間に、描いたとおりに実際に実行できるかが非常に重要であり、私たち三井金属グループが持続的に価値を創造していくためには必須のプロセスです。

そして、その実行のためには、定めました「パーパス」「全社ビジョン」がしっかり浸透、共有されていることが欠かせません。グループ内へのその浸透プロジェクトを発足させましたのは、経営計画の実行を担保するものでもあります。

経済的価値と社会的価値の両軸の経営戦略を構築し、財務と非財務の両面から持続可能な企業となるべく、統合思考経営への変革を遂げ、“地球を笑顔にする”ための準備は整いました。パーパスを基とした2030年のありたい姿の実現へ、経営トップとして、これまで以上に情報を積極的に発信し、社内外のステークホルダー皆様とのコミュニケーションも進めていきます。

今後とも、より一層のご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

 

 

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